Chapter 9

実践編(1/3)

身近な誰かをイメージしてみる

実践編その2では、
具体的に制作物の中身(メッセージ)について
考えていきたいと思います。

デザインやコピー、写真もそうですが、
制作する上で大切な考え方は共通しています。
それは、「誰」に「何」を伝えるか。
核となる考えはこれだけです。

誰というのはターゲット、
何というのはコンセプトになります。
これをどうやって伝えるかが、企画・制作の部分です。

さぁ、最初の「誰=ターゲット」について具体的に考えてみましょう。
もし、ターゲットが自分とかけ離れた人だったとしても、
問題ありません。
人間には想像力という武器があります。

例えば、商品は缶コーヒー。
ターゲットは20~30代男性、さらに絞って
工事現場で働く人としてみます。
近所で現場作業している若者を少し観察して、
商品との関係性をイメージしてみましょう。

夏の暑い中、ひとしきり働いてお昼休み。
汗をかいているので、お弁当と一緒に飲むのは
冷たいスポーツドリンクやお茶でしょう。
そして3時の休憩。
もうちょっとで今日も終わり、の前に、
もうひと踏ん張りするため、
アイスコーヒーを飲んで、自分を奮い立たせます。

冬の寒い中、外での作業は体の芯から冷えているでしょう。
休憩中に手に取るホット缶は、
手のひらにじわじわと温かさを伝え、
一口ずつ飲み込むコーヒーの温かさは、体にしみわたっていきます。

これはすべて想像です。
もし、想像するのが難しい場合は、
身近にいる20~30代の男性、もしくは芸能人、
もしくは当時の自分に置き換えて、この職業で働くシーンを
思い浮かべてみましょう。
少しだけイメージがわきやすいのではないでしょうか。

ちょっとした工夫や視点を持つことで、
自分とかけ離れた仕事でも、想像することができます。
できるだけ具体的にイメージしておくことが、
何を伝えればいいかというメッセージを強くする秘訣でもあります。

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