Chapter 3

会社を際立たせるCI、VI(2/3)

CI、VIはつくってからがスタート

誤解されがちなのですが、
広告クリエイターがつくるものは、決して芸術作品ではありません。

芸術家と何が違うと言えば、
広告制作は、目的が自分と別のところにある点だと思っています。
芸術家は自己を表現するために作品に向かう。
広告クリエイターは、
クライアントの課題解決のために案件に向かう訳です。

さらに、私たちのつくるものは、つくってからがスタートです。
完成物をクライアントに使ってもらうことで、
はじめて意味を成します。
営業用の販促ツールも、新卒採用のためのパンフレットも、
展示会の内装も、コーポレートサイトも。
活用してもらえなければ、悲しいかな、意味がないのです。

この定義は、コーポレート・アイデンティティ(CI)や
ビジュアル・アイデンティティ(VI)も同じです。
社内に浸透させ、実際に運用・活用されるためにつくられています。

たまに、つくることが目的になってしまわれる
企業様もいらっしゃいますが、
それは私たちクリエイターにとっても、社内の皆様にとっても残念なこと。
結局はクリエイティブの効果を発揮しないまま、
いくら一生懸命つくっても、「何であんなものにお金をかけているんだ」なんて
社員様から不満の種にされてしまうこともあるのです。

だから、私たちはクライアントの担当者様と何とかして、
会社全体を巻き込むような仕掛けを
制作プロセスの中に組み込んでいきます。

たとえば、
会社のイメージをアンケートで調査したり。
社内の各部署を撮影で回ってみたり。
営業の方へ、現在のツールの使い勝手や、
どんなツールが使いやすいのかをヒアリングしたり。

そして、いざ新しいCI・VIを発表したときには、
ある程度の受け入れ態勢ができているようにするのです。
この状態をつくることも、
効果的にクリエイティブの力を活用していただくために必要だと考えています。

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